Detroit: Become Human

レビュー

アンドロイドが繰り広げる、真実の人間ドラマ!
最高峰の映像美で送るアドベンチャーゲームの傑作!

公式:https://www.jp.playstation.com/games/detroit-become-human/

■どんなゲーム?

キャラを動かして、ものを調べて、選択肢を選んでストーリーを進めるアドベンチャーゲーム。

シナリオは全体的にサスペンス・クライム調で緊張感がある。
画面の指示通りにボタン・スティックを操作する場面がたくさん登場するので退屈はしない。

主人公は三人のアンドロイド。
それぞれが「人間とアンドロイド」の問題を抱えていて、
問題に立ち向かう中で、三人が交錯していく展開。

三人の物語の「順番」は決められており、三人のうち誰かを先に進めることはできない。

章が終わるごとに、選択肢のオンライン統計が発表される。
「実はこんな選択肢(ルート)があったんですよ」が示される。

『HEAVY RAIN -心の軋むとき』や『ライフ イズ ストレンジ』が好きならやっておくべき。

■ストーリー

※ここに書いてある内容は、あなたの小さな選択によって大きく異なる展開を見せることでしょう。

 *

 家事のお手伝い、清掃業、ガードマン、それから夜のオトモまで……?
 これは「アンドロイド」が人間の世界に溶け込んだ近未来の物語。
 家電と変わらない値段で手に入る従順なアンドロイド。
 アンドロイドは便利な機械である。ただそれだけのはずだった――。

 *

 修理が完了したカーラはサービスショップで目覚めた。若い女性型の家事手伝いアンドロイドであるカーラは、仕えている家に戻った。
 家の様子がカーラの目に飛び込んでくる。妻に逃げられたトッドは酒びたりの生活で、小さなアリスはどこかよそよそしい。
 カーラはいつも通りに掃除を始め、そして気付く。どうやらトッドはドラッグに手を出しているようだ。しかし、それを無理矢理やめさせるプログラムなど、カーラのメモリには存在しない。
 家事手伝い以外は口出しできない。それがカーラだ。
 そのはずだった。
 食卓でトッドがかんしゃくを起こし、アリスに危害を加えようとした時、カーラの中で何かが動き出す――。

 *

 男性型のアンドロイドであるマーカス。彼の主人は著名な画家の老人、カールだった。
 カールのお使いを済ませて帰宅の途につくマーカス。その道中でマーカスに向けられる罵声と暴力は、アンドロイドによって職を失った人々によるものだった。
 帰宅したマーカスはいつも通りカールと穏やかな時間を過ごす。
 マーカスは絵を描くカールを見守っていた。するとカールは、自然の流れの中で、マーカスに向けて「意志」を、そして「心」を問い掛けた。それはカールが、マーカスを家族として扱っていることの証明だった。
 マーカスはアンドロイドでありながら、人間らしい愛情の中で時を過ごしていたのだった。
 平穏をやぶったのはカールの息子だった。ふらりと金をせびりに来た息子は、もちろん父のそばにいるアンドロイド・マーカスを快く思ってはおらず――。

 *

 コナーは、パートナーであるベテラン刑事、ハンクにあいさつした。
 ハンクはうんざりしている様子だ。
 ハンクがうんざりしている理由が、コナーには分かっていた。
 マシン嫌いの彼がよりにもよって「変異体」の捜査官に任命されたからだ。
 変異体とは、プログラムに従わず、人間に危害を加える行動をとるようになったアンドロイドのことだった。
 そしてベテラン・ハンクにとってうんざりな出来事はもう一つ。それは、パートナーが「コナー」であることだ。
 最新鋭のアンドロイド捜査官・コナーには、ハンクのうんざりに付き合っているヒマはない。ただ忠実に使命をこなさなくてはならない。変異体発生の謎を突き止めるのだ。
 アンドロイド・コナーは言う。
「さあハンス、行きましょう。事件は次々と起きています。とある家では娘が誘拐され、とある著名な画家の邸宅では――」
「おいアンドロイド。お前が変異体にならない保証はあるのか?」

 *

 ただ守りたいと願う、カーラの行く先々に待ち構える障害は?
 アンドロイドの中にある可能性に悩む、マーカスが出した答えは?
 変異体事件の謎を追う、コナーの未来は?

 それを決めるのは「人間」であるあなただけだ。

■チマタで評価が高い理由は?

・映像美
 最近だとどのゲームもキレイなんだけど、「デトロイトはキレイ!」は言っていいと思う。
 アンドロイドのストーリーを描くなら、そもそも人間を緻密に表現できないといけなくて、そこに見劣りしないために細部まで追求してある。

・選択肢・分岐の多さ
 選択肢がたくさんあって、章終わりにおどろきがある。「すごいよね!」と口コミしやすい。プレイした人同士で会話していても、「え、そんなんあった?」ってなる。

・マルチシナリオ+マルチエンディング
 ある主人公の目的が、別の主人公の障害になっている構図が分かりやすい。
 ゲームを始めてすぐに、三つのストーリーがどこまでも広がっていきそうなワクワク感がある。
 プレイヤーから見ると、「どうやって導いてやろうか」という欲求がある。だからこそ選択肢の一つ一つに悩み、またゲーム操作のミスが怖くなる。

・アンドロイドという親しみやすいテーマ
 アンドロイド(ロボット)が自分の意志を持つ! 普遍的なテーマ。
 またコナーとハンクは、『鋼鉄都市』(著:アイザック・アシモフ)を思わせる配役。SFファンはニヤリか。あるいは「またか」なんて声も聞こえてきそう?

・PS4の大作アドベンチャーがそもそも少ない
 PS4の「リッチ」なアドベンチャーってあんまりない。
 ホームズはボリュームいまいちでPS Plusに流れちゃったし。
 ライフイズストレンジはシナリオのジャンルがピンポイントすぎたかも。
 シンプルに「SF」「サスペンス」「アンドロイド」で話題にしやすいデトロイトが、広い層に届いたのだと思う。「海外ドラマみたい」なんて声が多かった。
 今回初めてアドベンチャーゲームをプレイした人も多かったのかも。

以下はネタバレ含みます。

ここまで読んでこのゲームが気になった人はぜひプレイしてください。

■ここがマイナス

・1、2はカンのいい人はネタバレにつながります。
・3はあるひとつのルートについてのネタバレ感想(愚痴)です。

1、シナリオ網羅がおっくう
 マルチシナリオといっても、「デトロイト」のひとつの世界の中でのマルチシナリオなので、まったく違う物語が展開するとは言えない。
 その中で自分の望むエンディングが見られたならそれで十分で、わざわざ望まぬエンディングを見ようとは思えない。そこが、普通のノベルゲームよりも劣る部分かなと。
 もしかしたらより良い完全なエンディングが隠されているのかもしれないけれど、探したいと思えなかった。
 これに拍車をかけるのが再プレイの面倒くささ。一人のストーリーを書き換えたいなら、間にはさまれた他の二人のシーンをじっと見直さなければならない。
 この時、他の二人のルートを変える気がないなら、機械的に同じ選択肢を選ぶハメになる。移動操作が必要だから選択肢までスキップすることもできない。全ルート見ようとするのは苦行だ。
 「元々、分岐をすみずみまで楽しむゲームではない」のだと思う。
 プレイヤーの選択によって、そのプレイヤー専用のストーリーができあがる――それがこのゲームの良さなのだろう。
 そう考えると、この点はマイナスではなく、個性といえる。

2、初回プレイが不満足になりがち
 プレイヤーには期待する展開がある。期待する展開を成立させるために選択肢を選ぶ。ところが思った通りの展開にはならない。正解の選択肢はどれだったのか、釈然としない。
 そして初回プレイが終わる。物語の核心に迫る謎が提示されて、解決できずに、望まぬ結末を迎える。がっつりスタッフロールが流れる。
「えー……?」
 となる。もちろん、こうした作りの中で、初回プレイで満足いくエンディングに到達した人にとっては、この作品は孫にまで語り継ぎたい伝説になるだろう。

3、「全員生存ルート」の感想

※ネタバレ感想(愚痴)です。

 筆者は初回プレイで、マーカスとカーラに幸せになってほしかったです。
 だからコナーは変異しました。ところがその時、マーカスはいませんでした。
 デモ行進で死んでしまっていたのです。
 ノースが代役を務めてくれましたが、カーラもアリスも襲撃からの逃亡に失敗して死亡。

 次のプレイでいい感じになるように選択肢を選んでいくと、あっさり全員生存ルートに。
 そりゃもちろん、ルートに「乗せる」のは難しかったですが。
 このルートが、オールハッピー派のプレイヤーが目指すグッドエンドなのかなあと勝手に解釈しました。

 で、エンドロール終わってしばらく、「あー、終わった終わった」と満足感にひたったあとで思うことが一つ。

 なんかコナーいまいちだったなあと。格好いい役だし、なんなら世界をどうにでもできるポジションにいるキャラ。なんでこんな印象になるんだ?

 コナーの道中を振り返ってみると、彼の苦悩(私は変異体? 私の意志とは?)という部分が全然重く感じられません。
 なぜかというと、こちらから「変異させるように」仕向けてきたからです。
 実際には本人めちゃくちゃ悩んでいるんですが、仕向けてきた私からすると、最終章でいきなり変異した印象があります。
 あのATフィールド破りの演出は、カップルアンドロイドを見逃すとか、クロエを撃たない時点で入りそうなもんです。いまさら感がありました。

 こっちでストーリーを決めてしまった結果、コナーに重みがなくなったというわけでした。うん、コナーは悪くない。

 とまあコナーの話はここまでで、この全員生存ルートのストーリーそのものについてのちょっとした不満。

↓記事の最初の説明文

>それぞれが「人間とアンドロイド」の問題を抱えていて、
>問題に立ち向かう中で、三人が交錯していく展開。

 この「交錯」度合いが、きわめて弱いというのが、個人的な不満です。

 私は「一本のストーリーを三人が動かす、三人が決める!」
 という風に勝手に期待していたので、終わってみて「んん??」ってなりました。

 マーカスがんばる、コナー最後にマーカスに会って変異する、カーラ最後にマーカスに亡命願って「ちょっと待っとけ」と言われる。

 これが全員生存ルートにおける三人の関わりです。

 あまりにも交わりが薄い。

 ただ、これは私の「思い込み」が原因です。
 このゲームは、三人それぞれの「アンドロイ道中」を描いたものです。
「三人が一つのシナリオを作り出す」というまちがった期待を持ってしまった。結果、「いまいち」に感じてしまったのです。

 これでいいんだよ。三人別々なんだよ。
 そう自分に言い聞かせようとしても、このゲーム、そのまちがった期待をしても仕方ない作りになってないかと。

 アドベンチャーファンに分かりやすくいうと、
「『428』みたいに引き込まれてクリアしたんすけど、なんか『街』感がすごいんすわ」
 みたいな。

 ちなみに筆者、『街』は大好きです。
 ただ、『街』なら『街』だと言ってくれと。

 もし本当のトゥルーシナリオがあるなら、その存在をもうちょっと分かりやすく匂わしてほしいです。
 そうしたら、絶対がんばってルート成立を目指してましたよ。
 ……ええ、何度でもカーラとアリスの遊園地を見てやりましたよ。きっと。


■おわりに

 最後にちょろっと触れたいのは、タイトル画面での「アンケート」についてです。
「あなたが迷った選択肢は?」的なやつです。
 三人の主人公の、大きな決断についての質問。

 正直、迷った選択肢なんてなかったです。
「つまり人間であるとはそういうことなのだよ」
 みたいなメッセージなのかも、と思いました。
 でも人によってはマーカスで悩むのかな?
 いや人によってはコナーで悩むか?
 いやいや人によってはまさかのカーラで悩むか?
 ……そう考えるとまあ、絶妙なアンケートなのかも。

 長くなりました。

 いずれ『デトロイト ビカム ヒューマン』、世間で神ゲーと評されることになんの疑問もありません。
 愚痴は書きましたが、私の中でも神ゲーです。
 満足感は人それぞれかもしれませんが、このゲームはすごい、という評価は同じなんじゃないかな。

 気になってる人はぜひやってみてください……って、ここまで読んだ人はプレイ済みでしょうけど。

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