レビュー

 アーリーアクセス版を経てついに製品版が公開されたドリームズユニバース(本作は以下、Dreamsと記載)。さっそくレビューします。

 Dreamsはかんたんに言ってしまえば、PS4でゲームを制作できるゲームです。ゲームを作るにはキャラクターや木々や建物や音楽なんかが必要不可欠ですが、それら「すべて」をDreamsで作れてしまいます。アニメーションもカメラ割りもすべて自由に作れます。

 ゲームを作る気はないけど、3Dモデルに興味があるとか、音楽には自信がある、というクリエイターにもさわってほしいツールです。

 Dreamsはモーションコントローラ(以下Moveコン)に対応していますが、通常のゲームパッドで問題ありません。ただし、グラフィック面の制作においてはMoveコンの方が作業効率が良いと思います。まずはパッドで楽しんでみて、グラフィック面の制作に火がついたならMoveコンの導入を検討してみる、というのをおすすめします。

 といったところで、良い点と悪い点をざっとピックアップします。

良い点

  • プログラミングなしでアクション性の高いゲームを作れる。
  • 作るのが楽しい。
  • 3Dモデリングができる。
  • 作曲できる。
  • 絵を描ける。
  • ゲーム以外の作品も共有できる(3Dモデル/音楽/イラスト/アニメーション/ゲーム機能など)
  • 作品はバージョンごとにオンラインに保存できる
  • チームでの作業が考慮されている(リーダーの作品にメンバーが手を加えられる。最後にその修正をリーダーが承認する流れ)
  • ワークショップ(チュートリアル)がていねいで分かりやすい。一通りやれば大体できることが分かる。なお、一部のワークショップは英語+日本語字幕。
  • 価格が安い。
  • ゲームを公開する時、他ユーザによる「リミックス」を許可できる。リミックスが許可されている作品は誰でもコピーして作り直せるので、中身をチェックして勉強できる。
  • 誰かの作品をゲームに組み込むと、自動的に著作表示が作られる。
  • WIP(制作途中)の状態で公開できる。フィードバックや励ましをもらいながら作れる。

悪い点

  • 大多数の作品説明、作品に寄せられるコメントが英語。(別に日本語でゲームを作っていいし日本語でコメントをしてもいいが、やりにくい)
  • インターネット上で公開されているチュートリアル動画や公式の定期配信が英語。英語ができないと、超重要な情報やテクニックを知らないまま時間を過ごすことになる。私がまさにそれ。
  • プログラム部分の制作に小さな罠がたくさんある。単純な仕掛けは簡単に作れても、少し複雑なものを作ろうとすると急激に難度が上がる。
  • Dreamsで制作されたゲームをプレイできるのはDreamsプレイヤーだけ。

感想

 ゲームだけでなくグラフィックも音楽も作れるすごいツールです。
 ゲーム制作ツールというだけの観点でみれば、疲れる、作りにくい部分はあるものの、楽しさが勝って続けられます。作りたいゲームが大規模だとか、効率を追求したい場合にはあまりおすすめできませんが。
 しかしだからこそ、複数人でチームを作って制作する機会も自然と出てくるでしょう。単なるツールでなく、コミュニティという観点で大きな可能性があると思います。音楽もグラフィックも、得意分野の作品を持ち寄れるのは魅力的です。

 現状、制作物はDreams内だけでやりとりされます。そのため「作ったゲームをたくさんの人にプレイしてほしい」というニーズにはマッチしにくいです。
 Dreamsを持っていない人もコンテンツを遊べる無料アプリが出たら、「これ全部Dreamsで作ったの!?」なんてことになって、活気づく可能性は高いと思います。

 あとはとにかく気になるのが、言語の壁でしょうか。ネットの情報を見ていても、作品コメントを見ていても、英語ができたら良かったなあとつくづく思います。ちなみにゲームを作る際に使うテキスト表示機能には、日本語のフォントも数種類用意されています。フォントが用意されているということは、日本語のゲームを作っても問題ないということです。英語を使わないといけないというルールは一切ないので、そこは勘違いのないようにお願いします。まあ、人情としてね、みんな英語使ってるし、プレイ人口も日本人に限ったら1割切るだろうし……。

 と、ちょっと気になるところはあるものの、「とにかくすごい! 作っていて楽しい!」というのが感想です。

 気になっている人は触ってみてほしいです。たとえ作品が完成しなくても、作品を作っているときの楽しさは他のどのゲームからも得られないものです。一度体験してみてください。


注意点

 公序良俗に反する作品はNGです。NGというのは作品公開を強制停止されるのはもちろんのこと、PSNアカウント停止の措置が取られる可能性があります。
DreamsはCERO Bです。子どももプレイできる作品です。過度な暴力的表現や性的表現を作らないように、子どもでも楽しめる作品を作りましょう。

 それからもちろん著作権侵害についても同様の措置が取られる可能性があります。「みんな作ってるから私も!」なんて考えないように、ご注意ください。

 成人向け作品を作りたいとか、グロテスクなゴア描写てんこもりのゾンビ作品を作りたいとか、そういう場合にはDreamsは使えませんのでご注意ください。


☆以下は機能ごとの紹介と感想です。もっと詳しく知りたい人向け。

作れるゲーム

  • 2D/3D問わずほとんどのジャンルが作れる。
  • 最大4人のマルチプレイヤーゲームも作れる。(遊ぶときはローカル環境か、PS4のシェア機能を使う)
  • 歩行やジャンプができるマネキン人形(パペット)が用意されている。パペットを飾りつければ自分だけのキャラクターを作れる。特殊な行動アニメーションも自分で作り込める。剣を持たせてぶん回したり、ダンスしたり。
  • タイトル画面、ステージ1、ステージ2、ムービー画面……これら一つ一つを「シーン」として扱う。シーンを複数つなげて一つのゲーム作品とする。もちろんゲームシーン1個だけでもOK。
  • データベース機能がないため、「全シーンで使う共通のデータ」の調整が大変。RPGなど大量のシーンが必要なゲーム制作には向かない(できないわけではない)。

制作画面の操作について

  • ワークスペースはXYZ軸を持つ3D空間(UnityやBlenderのイメージ)。
  • マウスポインタの代わりになるキャラクター(インプ・チップ)を、モーションセンサー(パッドの傾き)で操作する。またモーションセンサーをOFFにして、左右スティックで操作できるモードもある。
  • ゲームテキスト以外にも文字を打ち込む場面が多い。入力用にUSBキーボードがあると楽。
緑のマリモみたいなのがチップ(インプ)。色も見た目も自分好みのを選べる。

プログラム部分

  • カウンター、タイマー、体力、テキスト表示、変数……といった部品(ガジェット)をゲーム画面に配置していく。
  • 部品は50種類以上あり初見ではウヘッとなるが、似たような使い方の部品が多いので、最初の印象よりはずっと簡単に作業できる。
  • 部品同士をワイヤーでつなぎ合わせることで連携させる。
  • ワイヤーの接続点は、部品ごとに複数ある。たとえば体力部品は「現在体力」「最大体力」の他、「ゼロになった時」という接続点もある。これと音楽部品のスタートをつなげれば、死亡時に音を鳴らせるようになる。
  • ゲーム内で部品の実践例を表示できるので、まず一通り試してみるのが出発点。
  • 目的の実現方法がたくさんある。部品をつなげていく作業自体がパズルゲームをしている感覚だ。できあがりを想像して部品を組み立てて、想像通りに動くかテストする流れは、プログラミングをしている感覚と変わらない。
  • 部品が画面中に散らばりがち。手直しのために画面を移動して回るのは効率が悪い。いかに整理整頓できるかもスキルの一つになる。
  • 部品を使う際、動作の目印となる「名前」を付ける場面がある。この名前は英語で入力する必要がある。
ガジェットは大量だが、やってみると意外とついていける
ガジェット同士をワイヤーでつなげて機能を作る。
筆者はさぼっているが、ワイヤーをキレイにならべることもできる。

アニメーション

  • ゲームオブジェクトやキャラクターのアニメーションを作れる。
  • なお、単純なピストン運動や回転運動であれば、プログラム部品(ガジェット)を使うことでも実現できる。

①レコードモード:自分でオブジェクトを動かして録画する。その通りに再生される。
②変更点モード:変更後の状態を設定する。位置だけでなくサイズや色などすべての情報が使われる。初期状態から変更後に向けて再生される。
③タイムラインモード:①や②をタイムライン上に並べて時間制御できる。ループもできる。

スカルプトモード(3Dモデリング)

  • 球形や四角形など、基本形状を組み合わせてオブジェクトを制作できる。マップに配置する木や建物はもちろん、キャラクターも作れる。
  • 図形の面を選んで引き伸ばせる。
  • 図形の面ではなく、一部分だけを盛り上がらせたい場合、今あるオブジェクトに別オブジェクトをドッキングする。ドッキング時の融合加減を調整すれば、ゆるやかでいびつな形も作れる。
  • 別のオブジェクトの形状を使って「削る」こともできる。たとえば地面に対して上から球形を押しつければクレーターを表現できる。縮小したオブジェクトでスルスルと削りとれば、これはもう彫刻刀と同じこと。人体、クリーチャーなどのリアルな造形にも挑戦できる。
  • このモードだけはMoveコンの方が効率がいい。ただ優位性は効率面だけ。パッドだと作れない、というものではない。
「なんだこれ?」と言うなかれ。どこからどう見てもシルクハットである。
キューブをくっつけてみた図。「融合加減」をいじることで、ぐにゃっとなる。

コートモード/エフェクトモード/スタイルモード

  • オブジェクトの色や質感、簡易アニメーションを適用できる。
  • 丸いだけのオブジェクトを「ぼさぼさ」に変形したり、四角い床のオブジェクトを水面みたいに「ユラユラ」させたり。
もとは球形・楕円形をつなげただけのオブジェクト。「ぼさぼさ」にできる。

ペイントモード

  • 画面にそのまま絵を描ける。
  • 筆に厚み(奥行き)を持たせることも可能。「描いた絵の周りをぐるっと360度鑑賞する」という不思議な経験もできる。
  • 描いた絵はゲームオブジェクトになる。複製やアニメーションを適用できる。
     チュートリアル例:雨のラインを一本描いたら、それを自動複製して画面内に降らせる
  • このモードについても、Moveコンの方が直感的に作業できる。

サウンドモード

  • 音楽を制作できる。
  • ACIDのようにループ音源を並べて音楽を作れる。
  • ピアノロールによる打ち込み作曲も可能。
  • ギターやピアノといった楽器音源を選択したら、コントローラのボタンを押して「リアルタイム演奏」するモードもある。この演奏を録音して曲に使うこともできる。(この演奏をピアノロールで修正できる)
  • マイク取り込みした声、楽器の音を使える。
見慣れた光景。音楽素材を並べていく
リアルタイム演奏を録音して、曲に使うこともできる。使える音階セット(マイナー・ペンタなど)も数種類から選べる。筆者もやってみたが、センスがないのでサッパリだった。

その他

  • マイホーム(箱庭)をひとつ持てる。好きなオブジェクトを置いて飾りつけできる。
  • ゲーム内で「ユーザーレベル」というのがある。クリエイト作業でもゲームプレイでも、何かやっているとレベルアップする。
  • チップクエストという、ちょっとしたゲーム目標がたくさん用意されている。「ゲームを公開しよう」とか「コメントしよう」とか「音楽をチェックしよう」とか。意識的に達成していくのも楽しいだろう。

おわりに

 ドリームズユニバースはなんでも作れるゲームです。ただそこには「時間さえあれば」という条件がつきます。作業効率の面でとにかく厳しい印象があります。

 ゲームを作るならパソコンでプログラミングした方が早いです。絵を描きたいならパソコンでグラフィックツールを触った方が早いです。
 それでもPS4という慣れ親しんだ環境で、オンリーワンの操作性で思ったものを「全部」作れてしまうというのは、ただそれだけでとにかくワクワクしてきます。

 一人で黙々と作っても良いですし、何人かでチームを組んで一つの作品を作り上げるのも良いでしょう。

 ゲームにはたくさんの要素が必要です。音楽もキャラクターもインテリアも、様々な分野のクリエイターに、まずはさわって楽しんでみてほしいと思います。

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