人数のコントロール

 小説とマンガで大きく違うのは、視覚的に表現できるかどうかでしょう。小説では視覚的に表現できませんので、もっとも気を遣うのは、一場面に登場する人数です。

 マンガなら視覚的に表現できますので、たくさんの人物が出てきても分かりにくくなることはありません。むしろにぎやかで楽しいです。小説はマンガと違い文章で表現されます。動作を表す文章があれば誰か一人が行動しています。会話文が書かれていたらそれは誰か一人がしゃべっています。

 作者も読者も、一人ずつ処理するしかありません。サッカーの試合を事細かに小説で書こうとしたら大変です。読む方も、あんまり読みたくないですよね。

 登場人物が多くなり過ぎないようにコントロールすることが大事です。

 二人だけの場面が続くなら、読者はそうそう混乱しません。たまに「どっちが先にしゃべったんだ?」みたいにはなるかもしれませんが。

 そうは言っても、ストーリーの展開上、どうしても四人、五人必要な場面も出てくるでしょう。推理小説なら十人の容疑者が一堂に会するなんてこともあるでしょう。

 そうなったら、やるしかありません。いざ会話が始まったなら、誰と誰が話しているのか、しっかりと、読者に分かるように提示しましょう。メインでしゃべる人物を設定し、必要に応じてその他の人物に話を振って、スムーズな会話の流れを考えましょう。

 同時にバラバラの行動を書くとか、同時にバラバラのセリフを話すとか、そういうごちゃごちゃした状況を作らないことが大切です。

例題

 拙作『ひとつの音』にて、バンドメンバー五人がほぼほぼ一言ずつしゃべっていくという残念な場面を書いています。

 また五人のキャラクターの初登場時の表現についても、同時に読者に紹介するのは困難なので、「時間軸を行き来して」一人ずつストーリーに合流させるという荒技を使っています。人数のコントロールのために時間軸のコントロールに踏み切ったというわけです。

 成功しているか失敗しているか、読んで確かめてもらえたらと思います。

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