小説の文章ルール

はじめに

 小説の書き方に正解はないものの、基本的な文章ルールというものはあります。これを守っていないだけで、内容に関係なく「稚拙である」などという残念な評価をされてしまうかもしれません。
 書き始めて間もない頃はきゅうくつに感じるかもしれませんが、だんだんと慣れてきますので、ルールを守って書くようにしましょう。

小説の文章の構成要素

 小説の文章は「地の文」と「会話文」から成り立ちます。

 会話文は鉤括弧(かぎかっこ)で囲まれ、登場人物のセリフとなります。
 地の文はそれ以外の文章です。物語の舞台や登場人物の様子を表現します。
 また段落の書き出しは一文字空けるといった、いわゆる「原稿用紙の使い方」に則ったルールがあります。

 まずはこのルールを守って文章を書くことです。そうすると読者は、「きっとこの作者は勉強をして小説を書いているのだろうなあ」と思ってくれます。また何より、体裁が整うことで読みやすくなります。

ルール

  • 段落の始めは一文字空白とします。
  • 会話文は改行して始めます。この時、先頭の一文字を空白とはせず、一文字目に「始め括弧」を入れます。
  • 会話文の「終わり括弧」の後は改行します。
  • 文章を読みやすくするため、適度に読点(、)を入れます。
  • 文章の終わりは句点(。)とします。ただし、「終わり括弧」があるなら句点はいりません。
  • 間を表す記号は二回連続させます(二文字分書く)。パソコンで入力する場合、三点リーダとダッシュを変換して次のように入力します。「……」「――」。なお三点リーダについては、パソコン等の設定によっては行の真ん中でなく下寄せで表示されます。表示結果はあまり気にせず、「三点リーダを使うのだ」と覚えましょう。
  • 感嘆符(!や?)の後は一文字空白を設けます。

例外

 前述のルールには例外がありますので紹介します。
 どういう場合に例外が発生するかというと、「その人の好み」となりますので、同じシチュエーションになった場合にはあまり悩まず、自由に書いて良いでしょう。

会話文は改行して始めます。→改行しない技法もある

 その会話が重要ではない場合や、短い言葉である場合など、改行せずに地の文に含めても良いです。会話と地の文が淡々と続いている時に放り込むと、文章のリズムが変化します。
 読みやすいかどうかと問われると、疑問が残ります。

 会話文は基本的に改行するもの、と覚えてください。

「もちつかざるもの食うべからず――家訓を忘れたのか」

 あれは家訓だったのか……。意外な事実に、目の前に広がる景色が色づいて見えた。

「お兄ちゃんがくれるから、良いもん」

 俺は「どうしてそうなるんだ、やらないぞ」と言うと妹は頬をふくらませた。しばしの沈黙の後、妹が声をこぼした。

『おもちの家のとある日の風景』より

ただし、「終わり括弧」があるなら句点はいりません。→終わり括弧の前に句点があってもいい

 小学生に作文を教える際には、むしろ終わり括弧の前に句点を書かせるようです。

 また読み継がれる文学作品もそうです。芥川龍之介や太宰治など、そういう時代には、終わり括弧の前に句点を書いていました。本来はそう書くのが正解だと言えるのかもしれませんね。

 ただ、最近の雑誌や小説書籍ではほとんど見かけなくなりました。読みやすさの観点からいっても、「終わり括弧の前に句点は書かない」とすることを、私はおすすめします。

迷いやすいポイント

 いざ小説を書き始めると、「この場合どう書けばいいのだろう?」と迷うことがあります。いくつか掲載します。

「……」と「――」の使い分け

 どちらも間を表すものですので、使い分けに迷います。明確な基準はないですが、私の使い分け方を紹介します。

 まず「……」は、言葉が出ない場合に使用します。

「その、なんていうか……あの……とにかくついて来てください」

 また、重い余韻を作る場合にも使用します。

それは……赤く染まった雪だった……。

 続いて、「――」は、言葉がさえぎられた場合に使用します。

「その、なんていうか――」

「とにかくそこへつれて行け!」

 それから、詩的な余韻を作る場合に使用します。

それは――赤く染まった雪だった――。

 好みの問題ですので、自分なりにルールを設けて使ってみてください。 

二重鉤括弧:『』

 通常の会話文の中でさらに強調させたい目的で、鉤括弧が入れ子になる場合、内側の括弧を二重にします。なお推理小説などでは、二重鉤括弧ではなく傍点を振る(ルビの位置に「、」を振る)ケースも多いです。

「つまりこういうことかい、嘘をついたのは二回だけで、『三回目は真実』だと?」

 また、作品タイトルや、文献の完全な引用である場合、二重鉤括弧で括ります。これは小説に限らず、論文などでも同じルールです。

 男は手元の新聞に目を落とした。その記事は一読すると信じられないような内容で、まるで『走れメロス』だなと、男は鼻を鳴らした。

数字の書き方:1か一か。

 決められたルールとしては、縦書きの文書の数字は漢数字(一、二、三)で書き、横書きの文書の数字はアラビア数字「1、2、3」で書くというものがあります。ただし、固有名詞については正しい表記にします。例えば、横書きの文書であっても、「第2次世界大戦」ではなく「第二次世界大戦」と書きます。

 そういうルールはあるものの、文章を表示する方向によって書き方を変えるのは大変ですよね。ということで、「日本の小説はふつう縦書きで書かれる!」と考えまして、WEB小説であっても基本的には漢数字で書くことを、私はおすすめします。

おわりに

 以上のように、小説の文章にはかんたんなルールがあります。またいくつかの点については作者の好みで自由に書けるようにもなっています。

 まずは改行後の一字空けなど、はっきりルール決めされている部分から、しっかりと体裁を守っていきましょう。

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